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中綴じフィニッシャの折り高さ低減技術開発 | Ricoh Technical Report No.39

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Academic year: 2021

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(1)

中綴じフィニッシャの折り高さ低減技術開発

Development of Saddle Stitching Technology for Reduction the Thickness of Binding

松浦 康樹

*

秦 輝鮮

*

藤栄 博

*

木全 正薫

*

林 翔

*

Yasuki MATSUURA Kiyoshi HATA Hiroshi FUJIE Masanobu KIMATA Kakeru HAYASHI

要 旨 _________________________________________________ MFP市場の主流である低価格帯の中綴じ機構は,機構の簡易さから低価格を実現する一方, 中綴じ冊子の折り高さが相対的に高くなるという品質上の弱点があった.そこで我々は, PP市場で用いられ,スクエア状の折り目を形成することで低折り高さを可能にしたスクエ ア折り技術を基に,同等の品質をより簡易な構成で実現する簡易スクエア折り技術を構築し た.また,当該技術に対し,用紙の折り目に沿って主走査方向に移動するローラ対の軸芯を あえてずらすことで,より低い折り高さを可能にする新規の中綴じ折り高さ低減技術を加え た,いわゆるサドルシェイプ技術を構築した.これにより,低価格,高折り高さ品質という, MFP市場にもPP市場にも対応できるマルチロールな中綴じ機構の開発,商品化を実現した. ABSTRACT _________________________________________________

Low-end saddle stitching machines, which are the mainstream of the office market, achieve low price and downsizing with simplicity of the mechanism. On the other hand, there is a weak point in the quality that thickness of binding is thick in comparison with high-end machines. We focused Square Folding System which lower the thickness of binding by means of making square crease, and developed a Simplified Square Folding System which is not only a like quality, but also a simple structure. In addition, we advanced the system, so-called Saddle Shaped Technology, which reduce the thickness of binding, which the pair of roller shifted its shaft center relatively is moved pararell with the crease. In this way, we realized commodification of a new type of saddle stitching machine which provide the high quality binding with low price.

* リコーテクノロジーズ株式会社 第二設計本部

(2)

1.

背景と目的

1-1 背景と目的 中綴じ機能において,冊子の折り高さを低く保つ ことは,冊子のユーザビリティ品質(取り扱いやす さ)と,外観品質(外観の美しさ)とに寄与する重 要なファクタである. Fig.1は従来の中綴じ市場における,中綴じ搭載 フィニッシャの価格と折り高さ品質との関係性を示 した図である.低価格(主にMFP市場)が売りと なる中綴じフィニッシャは,相対的に折り高さが高 いという短所がある.一方,その短所を補う高折り 高さ品質(主にPP市場)の中綴じフィニッシャは, 高価格になる.そこで我々が開拓に着手した新規技 術領域が,Fig.1の左上のスペース,すなわち低価 格,かつ高折り高さ品質を満足する新規中綴じ折り 高さ低減技術の開発である. E社製品H C社製品F 安 高 F社製品I D社製品G G社製品J 【折高さ】 【価格】 自社製品B B社製品DA社製品C 自社製品A B社製品E 高 低 ターゲットとする 技術領域

Fig.1 Product map of saddle stitching machine.

1-2 目標値の設定 折り高さ低減化を図る上で,具体的な目標値を設 定した.Fig.2はPP市場における自社製品Aの場合, 自社製品Aの折り目をローラによって繰り返し加圧 する増し折りを最大回数行った場合,A社製品の場 合との折り高さを横並びにした図である.新規技術 は従来機よりもさらに低い折り高さを目指すことと した.

Fig.2 Target value of new technology.

2.

折り高さ低減化技術

2-1 スクエア折り技術 折り高さ低減化を図る上で着目したのが,PP分 野におけるスクエア折り技術である.Fig.3は,従 来のMFP市場で用いられる折りローラ加圧方式の 中綴じ冊子の折り目と,PP分野で用いられるスク エア折り方式の中綴じ冊子の折り目とを比較した模 式図である1).折りローラ加圧方式では1つの折り 目が冊子に形成されるのに対し,スクエア折り方式 では冊子の折り目を形成したい箇所の上下方向を把 持した状態で背表紙側にローラを走らせ,2つの折 り目を形成させている.折り目が2つである場合, 冊子を閉じる方向により大きな力が作用するため, 折り高さが低くなる.

(3)

Fig.3 Existing folding methods. その一方で,スクエア折り方式は,折り目近傍を 把持する把持機構の構成と,背表紙側を走らせる ローラ機構とがそれぞれ必要になること,背表紙を ローラが走る際,把持された用紙に副走査方向の力 がはたらくため,用紙にずれが生じないよう,高い 荷重が必要とされることから,折りローラ加圧方式 に対し,部品点数の増加,部品の大型化,それに付 随して高コストになる. 2-1-1 簡易スクエア折り技術の基本構成 上述のスクエア折り方式によって形成されるよう な2つの折り目を,より簡易な構成で実現すべく考 案したのが,用紙のたわみに局所的な集中荷重を掛 け,加圧部を座屈させる方式である.Fig.4は,用 紙の座屈によって発生する折り癖の模式図と写真で ある.用紙を図のようにたわませた状態で,たわみ の中央部に局所的な集中荷重を掛ける.直接的な集 中荷重を受けない部分は,用紙剛性により,折り目 にはならず,たわみを維持するが,集中荷重を受け る部分は用紙が座屈し,図に示すような折り癖を形 成する.

Fig.4 Crease in the paper.

これを応用し,集中荷重を掛けるローラを上下に 配置した.これにより,折り癖を上下に2つ形成さ せ,かつそのローラ対を用紙中央部から主走査方向 に走らせることで,当該折り癖を前後に拡大させ, 折り目を2つ形成させることができる(Fig.5).

Fig.5 Schematic of Simplified Square Folding System.

本構成では,力で強制的に折り目を形成させる従 来のスクエア折り方式とは異なり,集中荷重により 生じる用紙の座屈を利用することから,一対のロー ラを加圧,主走査方向に走らせるのみの構成である. したがって,上述の把持機構とローラ機構とをそれ ぞれ配置することが不要となり,背表紙をローラが 走る際に生じる副走査方向の力も発生しないため, 把持機構に必要だった高い荷重も不要となる. Fig.6は,具体的な動作フローを示す図である.

(4)

Fig.6 Process flow of Simplified Square Folding System. ・ たわんだ用紙束が折り部に進入する(①) ・ ローラ対は圧解除のまま用紙束右側端部を越え る(②) ・ 用紙束中央部で加圧(③) ・ スクエア折りを形成しながら用紙束左側端部を 通過する(④) ・ 圧解除(⑤) ・ ローラ対は圧解除のまま用紙束左側端部を越え る(⑥) ・ 用紙束中央部で加圧(⑦) ・ 折りを形成しながら④と逆方向に移動(⑧) ③と⑦で中央部まで移動してから加圧するのは, 上述の折り癖を形成させることのほかに,用紙束端 部とローラ対との接触による用紙ダメージの防止と, 用紙たわみを外側に逃がすことで皺の形成を防止す る作用もある. 以上の構成を簡易スクエア折り方式と呼称し,折 り高さを検証した. 2-1-2 簡易スクエア折りの折り高さ 簡易スクエア折り方式によるA3 80gsm 20枚中綴 じの折り高さの検証結果を,Fig.7に示す.図から 分かるように,加圧力60Nを超えてからは折り高さ の減少が横ばいになり,目標値を達成できていない. これは集中荷重であっても上下方向の加圧力のみで は,用紙束内に荷重が分散され,所望する強い折り 目の形成には至らないことを意味する.そこで,上 述の機構に,より効率の良い加圧方法を考案するこ とにした.

Fig.7 Thickness of binding with Simplified Square Folding System. 2-2 さらなる折り高さの低減化 2-2-1 サドルシェイプ技術の基本構成 簡易スクエア折り機構の折り高さをさらに低減す べく考案したのが,上下のローラを主走査方向にず らす方式である(Fig.8).

(5)

上下のローラ軸心を,水平面に垂直な同一平面内 に平行に配置した場合,用紙にはローラの加圧力か ら用紙の反力(開こうとする力)を差し引いた力の みが作用する.これに対し,上下のローラをずらし た場合,モーメントが発生することで,用紙には折 り線をたわませる力が生じる.この結果,用紙には 折り線に垂直な湾曲たわみが生じる.この状態で ローラ対を折り線に沿って走らせると,用紙にしご きが生じ,軸心をずらさない場合よりも強い折り目 が形成される(Fig.9).

Fig.9 Bent crease.

簡易スクエア折り方式にローラ対の軸心をずらし た構成を加えた方式を,サドルシェイプ方式と呼称 し,折り高さを検証した. 2-2-2 サドルシェイプの折り高さ ローラ対の加圧力とずらし量に対する折り高さの 検証を実施した.この結果をFig.10に示す. 17 18 19 20 21 22 23 24 35 40 45 50 55 60 65 加圧力[N] 折 高 さ [mm] ずらし量0mm ずらし量2.7mm ずらし量3.3mm

Fig.10 Effect of shift amount between upper and lower pressure roller shaft on thickness of binding.

上図より,加圧力を大きくするほど,又はずらし 量を大きくするほど折り高さが低減されていくこと が確認できる.折り高さの目標値も達成している. Fig.11は従来の中綴じ冊子と,サドルシェイプ方 式の中綴じ冊子の写真である.後者の折高さが低く, かつ外観品質も高いことが確認できる. 従来の中綴じ (15枚) サドルシェイプ技 術の中綴じ(20枚)

Fig.11 Quality of Saddle Shaped Technology.

サドルシェイプ技術はその折り高さ品質に加え, 簡易な機構による低価格化を実現しており,MFP 市場に展開されているimagio 2000枚フィニッシャ SR4070の中綴じ機構と同等の価格帯を達成してい る.こうした品質面と価格面との両立という優位性 から,当該技術を用いた中綴じ機構を,RICOH MP C6003などに対応する2000枚中綴じフィニッシャ SR3170と,RICOH Pro C5110Sなどに対応する2000 枚中綴じフィニッシャSR4110とに搭載し,MFP市 場,PP市場への商品展開を実現した.

(6)

3.

結論

集中荷重による用紙の座屈を利用した折り目を形 成する簡易スクエア折り技術と,主走査方向に上下 の折り目形成用のローラ軸心をずらす折り高さ低減 技術から成るサドルシェイプ技術を開発した.本技 術は高折り高さ品質に加え,機構の簡易さから低価 格を実現し,技術の優位性を確立した.本技術を用 い た 中 綴 じ 機 構 を , 2000枚中綴 じフィニ ッシャ SR3170と,SR4110とに搭載し,MFP市場,PP市場 への商品展開を実現した. 参考文献 _________________________________ 1) 富士ゼロックス株式会社: 用紙処理装置, 特許 第4706456号 (2011).

参照

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